藍曦臣が阿瑤にこの「金光瑶専用藍氏通行玉牌」を渡したのはいつだろう。
古代中国で最高級とされた和田玉(白の翡翠)に
姑蘇藍氏家紋が透かし彫りされた豪奢な造りの品だ。
阿瑤が温若寒を討った功績で金家に迎えられ金光瑤という名を貰い、
斂芳尊という号を授けられ、赤鋒尊(聶明玦)、沢蕪君(藍曦臣)と
義兄弟の契りを交わし、三尊と称されるようになった頃だろうか。
陳情令設定集に掲載されている藍氏の通行牌はどれも簡素なものだから、
この曦臣が自ら誂えたと思われる金光瑶専用のものが
如何に貴重なものだったか伺える。
翡翠は、忍耐、調和、飛躍、成功、繁栄をもたらすとされるパワーストーンだ。
雲深不知処へ自由に出入り出来るという特権、
それは正しく藍曦臣の阿瑤へ向けた信頼の証だったのだ。
私は、曦臣自身が阿瑤へ抱いていた気持ちが
友情以上のものであった、愛だったと気づくのは、観音廟事件以後、
金光瑶が亡くなってからの事だと思っている。
だからこの通行玉牌に使った翡翠に実は、「初恋」の意味があることを知った時、
強い衝撃を受けるのだろうと思う。
それと知らずに相手に「初恋」の印しを贈り、長い歳月、
親密に手にされて、けれど手酷い裏切りにあって、送り返されてしまった、
その愛と裏切りの証拠のような玉牌を
曦臣は、独り寒室で手にすることはあったのだろうか。
あの翡翠の玉と高い浄化作用と鎮静作用を持つとされる
純粋・無垢な石「ハウライト」の玉牌、
阿瑤が長年身につけて、阿瑤の気を宿してはいなかっただろうか。
原作で「香炉」が不思議な力を起こす話があった。
もしかしたら金光瑶専用玉牌が怪異を起こす可能性があるかもしれない。
曦臣に幸せな夢が訪れれば良いのに。
一夜の夢であったとしても、儚さが一層切なさを遺すとしても、
逢わせてあげたい。
注:「斂芳尊という号」
孟瑤には、師がいなかったので自分で付けた可能性あり。
「香りを集める尊い人」くらいの意味?
勝手ながら曦臣が名付けたのではないかと妄想してます。
佩玉 求愛の際の佩玉の贈答は霊魂の授受という呪術に発したものと考えられる
『詩経』「国風・衛風」【投瓜得瓊】
投我以木桃 我に投ずるに木桃(ボクトウ)を以てす
わたしに木桃(さんざし)を贈ってくれました
報之以瓊瑤 之に報ゆるに瓊瑤(ケイヨウ)を以てす
そのお返しに美しい宝玉を贈ります
「佩玉の贈答は霊魂の授受」って単に求愛の印しよりもっと凄いじゃないの!