曦瑶

「陳情令」金光瑶と藍曦臣についての彼是

母親達 孟詩、虞紫鴛、秦愫、江厭離etc.

母の日は過ぎてしまったけれど、もう一度
「陳情令」と「魔道祖師」に描かれた母親達についてのまとめ。

 

まず孟詩について
孟詩の阿瑤への強い願いは呪いになってしまったと私は思っているけれど、
決して孟詩が毒母だったと言っている訳ではない。
孟詩は、阿瑤が立身出世出来るよう、
そして父親金光善に認めて貰えるよう祈っただけだ。
けれどそれが無償の愛だったかと問われれば、私はそれだけではないと思う。
そもそも孟詩が金光善の子を身籠もった時、
原作では、その頃孟詩は同僚の妓女達に「年増」と評されるように、
既に若さを失いつつあった。光善の子を産むことで、
この境遇から抜け出せるのでは?身請けされるのでは?
という期待を持ったのだろうと思う。
実際には、真珠の釦一つ残して光善は去ってしまったけれど、
孟詩には、我が子孟瑤が学問を修め立派に成長すれば、
光善が迎えに来て呉れるのでは?という
儚い願いに縋ったのだろうと思う。辛い境遇に苦しみ
「妓女」という世間から蔑まれ続けた女性を誰が責められようか。
ただそんな母からの愛を一身に受けて育った阿瑤に、
「父光善に認められ、金家に入る」
という強迫観念とも言える枷を与えて仕舞った事実が哀しいのだ。

 

次に虞紫鴛について
ドラマ「陳情令」の方では、夫江楓眠とは、不仲ではあったものの、
心の底では互いに想い合っていたのだという
感動的な二人の死の描写があったけれど、原作では、そうではない。
江家に嫁いでからも、実家風の生活様式を変えず、自分専用の住居を作り、
実家から連れてきた金珠・銀珠の侍女達と過ごす。
実家の権勢をかさに半ば強引に江楓眠に嫁いだという引け目の裏返しなのか、
自分の出自を誇り夫を見下す言動をとる。
夫が魏長沢と蔵色散人の遺児魏無羨を連れ帰って来てからは、
事あるごとに我が子江澄と魏無羨とを比べ、江澄の心を追い詰めた。
江厭離と江澄の姉弟を愛していたろうが
夫との不和を子等に隠そうともしなかった態度は、
いただけないと思う。
止めは、魏無羨に掛けた最後の言葉「江澄を守りなさい」
あの場合、母としては、心からの願いだろうけれど、あれも呪縛だろうなあ。

 

金光善夫人
虞紫鴛と親友で互いの子を夫婦にしようと約束。
彼女も権勢を誇る家の娘で金光善は、彼女を正妻として遇した。
表向き大事にされつつも裏では、夫光善の女遊びに悩まされ、
後日阿瑤が金家に迎えられてからは、虐待を続けた。

 

秦夫人
金光善に襲われ秦愫を産んだ。
悩んだ末に金光瑶と秦愫との婚礼前夜に阿瑤へ真実を告げた。
彼女がもっと早くに告白していれば。
阿瑤と秦愫との交際初期に阻止していれば、と思うけれど
彼女は、出来なかったのだろうなあ。
気の毒だとは思うが彼女が侍女碧草に秘密を漏らしたのはどうかと思う。
相手選びなさいよ。碧草、お嬢様の為とか言いながら、
お嬢様の最大の秘密を翡翠の腕輪と引き換えに売ったのよ?

秦愫
何故彼女は、手紙を受け取って嘔吐するほど動揺したのか。
私は、以前からここで述べているけれど、金光瑶との異母兄妹の事実ではなく、
夫であり異母兄でもあった金光瑶という男が、
我が子阿松を殺したのではないか?という
疑惑についてこの上なく嫌悪したのだと思う。
十数年自分を愛し慈しんで来た、そう確信していた夫が、
未知の怪物だった、その事実に戦いたのだろう。
子を害した者への強烈な怒り、
それまでの情も何もかも吹き飛ばされてしまった。
阿松が生まれた時点で阿瑤が秦愫に打ち明けられていればなあ。
阿松が死ななくても阿瑤と秦愫の名誉が守られる
そんな策があったかも知れないのに。


江厭離
我が子金凌がいるにも関わらず、何故江厭離は、あの魏無羨への
討伐決起集会の場へ駆けつけてしまったのか?
危険は、判っていた筈だ。判っていてさえ、
魏無羨を止められるのは自分だけなのだと、江厭離は、
確信していたのだろう。