青蘅君とその夫人との関係はかなり謎だと思う。
原作でも詳しく描かれていないので推測の域だけれど
彼女が青蘅君の師を殺すに至ったのも彼が彼女に一目惚れし
半ば強引に連れ帰った事が発端だろうし、
そうでなければ罪人を妻とし軟禁状態に置く事もなかったろう。
藍渙を妊娠したことで彼女の命を奪わずに済んだとしても
閉関を続けた青蘅君との間に藍湛も生まれたということは
その後も性行為があったということで、
これは「愛し合っていたから」というだけの美しい話ではないと思う。
夫人にとっては月一回の子供達との面会を許される為に
心ならずも夫を受け入れていたのではないかと私は疑う。
夫人が病気だったという描写もなく突然
「もう逢いに行かなくて良い。(母は)もういなくなった」と
告げられたのは、藍夫人の自死を指していたのではないかと思う。
青蘅君は確かに連れて帰り隠すほど夫人を愛していたろう。
けれど夫人の方は、情はあれど純粋な愛ではなかったように思う。
翼をもがれて自由を奪われた金糸雀。
子供達への愛も、命を捨ててさえ自由を手に入れたいという
彼女の願いを阻むことは出来なかったのでは?と思う。
もしも藍曦臣が観音廟の後、金光瑶を連れ帰っていたとしたら?
あの状況では、ほぼ不可能だったろうが、微かな可能性があったとしたら?
阿瑤は、籠の鳥に甘んじなかったろうなあ。
たとえ二人の間に確かに愛があったとしても。