曦瑶

「陳情令」金光瑶と藍曦臣についての彼是

金光瑶の父性と母性

各国の方々が創作されたXIYAOの大海を探索し続けているのだけれど、
想像以上に金光瑶が子を産んでいる事に驚く。
金光瑶が転生して女性に為ることもあるし、女性が献舎して
金光瑶の魂が呼び出されることもある。
女性となった金光瑶は、藍曦臣と出逢い、幾多の困難を経て、
最終的に二人の間に子を設けるという物語が多いように感じる。
金光瑶が男性のままである場合、謎の秘薬という存在が多々ある。
そしてオメガバース。藍曦臣と藍忘機がアルファ、金光瑶(孟瑶)と
魏嬰(莫玄羽の身体)がオメガという設定が多い。
何故、人は、阿瑶に子を産ませたがるのだろう。

 

「陳情令」の主要登場人物で阿瑶と同世代で、結婚して子を設けたのは、
金子軒と江厭離のペアだ。それ以外では、金光瑶だけが妻帯し、
子を成している。男性として。それが何故。

初めて私が阿瑶に子が生まれる創作を読んだ時、衝撃を受けた。
それまで自分には、阿瑶が子を産むという発想が全く無かったからだ。
けれど、今なら判る気がする。

 

私は、「陳情令」の世界で阿瑶が起こした一番の悪は、
父金光善を殺した事でも聶明玦を殺した事でもなく、
我が子、阿松を殺したことだと思っている。
秦愫を守る為とはいえ、結局は自分自身を守るために、
我が子の命を奪った、その事が、最終的に、
阿瑶の心を完全に壊したのだろうと考えている。
阿瑶がどれ程望もうと決して得られなかった父光善からの愛、
聶明玦に取り立てられて覚えた深い尊敬と信頼と慕情が、ある意味
父性を求めるものであったろう事。しかしそれも叶わぬ夢だった事。
苦労して手に入れた筈の妻と子、ようやく持ちえた家族は決して
自分が手にしてはいけないものだった。
自分の父性を発揮すべき存在が罪の子と知った衝撃。
己の父性を自らの手で切り捨てなければ為らぬ地獄の苦しみ。
これらを考えれば、阿瑶には、我が子を慈しむ未来があって欲しいと
願うことは、阿瑶を愛する者にとっては不思議ではないと思う。


そして、これまでも考えて来ていることだけれど、
藍曦臣も母性を求めている人だと思う。
幼き頃より、絶えず藍家後継者として忘機の兄として、
母への慕情を執着を素直に表せなかった曦臣が心の奥に
秘め続けた孤独、淋しさを阿瑶だけが癒すのだろうと思う。
曦臣と阿瑶が結ばれ、その愛の結晶が世に誕生する時、
阿瑶は、我が子と共に曦臣をもその豊かな母性で包み込み、
慈しみ育むのだろうと思う。

そして勿論、阿瑶は、母性だけでなく、
一度目の生では叶えられなかった父性としての愛を
我が子へ注ぐことが出来るのだろう。