曦瑶

「陳情令」金光瑶と藍曦臣についての彼是

陳情令スピンオフ「乱魄」を見て

日本版放送を待ちきれずに、翻訳かけながら見ました。
聶兄弟のスぺクタル活劇という印象でした。
聶懐桑が完璧に姫で聶明玦はもう本当に頼もしく格好良い大哥です。
武術の鍛錬を嫌い、優美な趣味に浸る弟懐桑を
兄明玦が心から慈しんでいたことが判ります。
聶一族が代々受け継ぐ忌まわしく怖ろしい刀霊の支配力の酷さ。

刀霊に心身を蝕まれつつ、己の寿命が残り少ない事を
自覚している大哥がどれ程懐桑を案じ、そして
懐桑も幼い頃から兄を心から慕ってきたのか、この刀廟での
二人の絆の強さから浮かび上がって来ます。

「陳情令」ドラマで私は、何故聶懐桑は、あれ程までの時間を掛け、
周到に金光瑶を破滅に導いたのかと少し不審に思っていましたが、
この「乱魄」を見て、聶懐桑の思いの深さを感じることが出来ました。
金光瑶は、懐桑に笛を渡し、「清心音」に混ぜて
「乱魄抄」を教えていたのか。

≪訂正≫金光瑶が懐桑に渡したのは、「清心音」の楽譜だけでした。

懐柔は、兄の死後、「清心音」と光瑶が弾いていた曲との違いに、

光瑶の企みに気づいたのですね。


最愛の兄の死の真相を知った時、懐桑は、どれ程の衝撃を覚えたでしょう。
未来永劫許さずに置くものかと復讐を誓って当然でしょう。
孟瑶が聶家に仕え、聶懐桑の身の回りの世話をしていた時から、
懐桑は、歳も同じな孟瑶をずっと信頼していた筈です。
その信頼を最悪な形で裏切られた、親愛の情が憎悪に変わる。
復讐を誓う。成就するまでの十数年間、仇には決して悟られることなく、
「三不知」を演じ続けた懐桑の胆力・知力は、
驚嘆すべきものがあると思います。
ドラマ最終回で私が感じていた、何故懐桑は、藍曦臣を謀ってまで
阿瑶へ止めを刺させたのかという点について。
私はやはり、阿瑶へ藍家門外不出の筈の「清心音」を教え、
更には、「禁室」へ忍び込み「乱魄抄」を盗み出すという悪事を許してしまった
藍曦臣の甘さを強く恨んでいたからだと思います。
大哥赤鋒尊と義兄弟の契りを結んだ二哥沢蕪君、そして
三哥斂芳尊に制裁を加える、これが懐桑の願いだったろうと思います。

一方、阿瑶にとって聶懐桑とは、どのような存在だったのでしょう。
私は、聶明玦へは、大きな父性を求めていたと思うのですが、
聶明玦の異母弟ではあっても一族の「姫」とも言える
常に保護され庇われる立場の懐桑へは、阿瑶は嫉妬の念すら
抱かなかったのではないかと思っています。
ドラマで藍家の座学から独り帰る時には?
私は、あの時の阿瑶は、懐桑へというより金家に対しての気持ちが
強かったと思うのです。金氏に認められたい。認めさせたいという気持ち。
阿瑶は、最後まで懐桑を侮っていた。
力の弱い肝の小さい男と見くびり、全く警戒しなかった。
阿瑶は、基本的に弱者には、優しいのです。
「妓女の子」などと出自を貶める者へは、必ず報復するが、
恩を感じた者には、礼を尽くす。

ドラマでも原作でも阿瑶が聶懐桑の真の狙いを知るのは、
最後の最期です。
懐桑に諮られた藍曦臣が阿瑶の胸を刺す。
その時にようやく阿瑶は、自分を破滅に導いた者の正体を知る。
大仙家の側室の子という立場でありつつも正式に子として認められ、
家族の愛を享受してきた懐桑。
片や十四で一度大階段で蹴落とされ、出自に苦しみ続け、
やっと金氏での地位の土台を手に入れたかに見えた矢先に
実父の招いた因果で地獄に突き落とされた阿瑶。
阿瑶にとっては、あまりに境遇が違い過ぎて、懐桑を脅威とは、
全く認識していなかったろうと思うのです。

復讐を成就するまでの懐桑の痛み、孤独の深さを思うと、
痛ましく思います。
けれど、あの観音廟の最期の場面、
全てを失った阿瑶には、曦臣の愛を得られた救いがあったと思うのです。
聶懐桑が得たものは、何だったのでしょう。
放送が終わってからも、考えさせられ続けるドラマです。


知識の浅さに恥ずかしくなりますが、私なりの感想を残しておきたいと思います。