孟瑶が生まれた青楼という名の娼館は、
のちに金光瑶に燃やされ、その跡地に、
母孟詩の顔に似せた観音を祀る寺院が建てられた。
「陳情令」最後の真相が明らかになった場所だ。
青楼で生まれ、幼いころより屈辱と蔑みに
晒されて来た金光瑶にとって、優しい母の
愛情に包まれていたとは言え、
青楼は、苦痛の象徴であった筈だ。
母を「娼婦」と蔑んだ人々を見返すかのように、
立派な観音寺を建て、大勢の信仰を集める。
母の供養の為に。
だからこそ、今までの悪事が露見し、
いよいよ追い詰められようとする時に、
母親の遺骨を取りに行ったのだ。
結局、母の遺骨は、聶懐桑によって
事前に掘り起こされ、聂明玦の切り離されてあった筈の頭と胴体を縫い付けられた
遺体へとすり替えられており、最終的に、
金光瑶は、あの場所で死を迎える事となった。
「生まれた場所で死ぬ。」
悲劇的な一生は、運命だったのだろうか。
「楼」がつくからだけじゃないけれど
吉井和哉も歌った「朝日楼(朝日のあたる家)」を思い出す。
”あたしが着いたのは ニューオリンズの
朝日楼という名の女郎屋だった”
暗い情念に満ちた歌だ。
悲哀と生まれた町への郷愁、そして
今の境遇への諦観というものを感じる。
つれづれ思うに、金光瑶は、生涯の最期が
この場所であることに最終的には、「ここへ母の許へ還ってきたのだ。」
とでもいうようなある種、安堵にも似た気持ちを
抱いていたのかもしれないと私は、感じている。
「朝日楼(朝日のあたる家)」歌詞
https://www.uta-net.com/song/140389/