曦瑶

「陳情令」金光瑶と藍曦臣についての彼是

阿瑶と藍曦臣、二人の生と性

ドラマの登場人物の「性」について彼是考えた挙句にブログを、
書いてしまう自分は、相当いかれてると自分でも思います。
ただの萌え好きな感想です。
阿瑶は、あの作品世界の中で、「性」の問題から見れば、
被害者の立場だったと思うのです。
妓楼で妓女が子供を産み育てるというだけでも相当なハンディが
あったでしょう。
幼い頃より周りの偏見や侮蔑の対象だっただけに留まらず、
やがて母親の容色が衰え、更に病気がちになり、満足な稼ぎが
無くなったとすれば、母を養う為に

身体を差し出すことを強制されたのでは、と思うのです。
富と権力に物を言わせ、年端も行かぬ子を蹂躙する大人達。

阿瑶が社会を恨むようになった大きな一因と考えます。


阿瑶が持って生まれた美貌は、大人達を虜にするのは、
是非もない事だったでしょう。
性を無理強いされる恐怖、痛み、屈辱を「過目不忘」の
阿瑶は、決して忘れる事が出来ないのです。
日々繰り返される行為に、阿瑶は、
心を殺すしかなかったろうと思います。
半面、その身体は、否応なしに敏感に反応する身体に、
作られていったのだろうと感じます。
浅ましく快感を覚える阿瑶は、
自分の性を憎むようになったのではないでしょうか。

阿瑶が聶家で仕え始めた時、「妓女の子」と知られていた上に、
小柄で見目麗しい阿瑶は、当然のように聶の家臣達の一部に、
性の対象と狙われた筈と思います。
ドラマでの表現は、ありませんでしたが、
阿瑶が殺してしまった総領も、相当阿瑶に執着していたようでした。
(原作の方で、阿瑶が聶家追放の原因になった殺人は別です。)

ドラマ4話で阿瑶が藍曦臣に心を救われた場面、
私は、あれが阿瑶の初恋の始まりだったと思います。
阿瑶が生涯貫いた純愛。
対して阿瑶が聶明玦に抱いた感情は、何だったのでしょう。
最初は、純粋な尊敬と信頼、初めて大人の男性に、
認めて貰えた喜びを感じて、尽くしたいと思ったと思います。
そこに肉を伴う情は、無かったろうと感じます。
どうだろう。
二人に性愛があった方が良かったのだろうか。
ともあれ、阿瑶と明玦には、決して埋められない溝が生じ、
後の悲劇に繋がっていきました。

次に温氏による雲深不知処襲撃から逃亡した曦臣を阿瑶が匿い、
二人は、急激に接近していきますが、曦臣の方は、
感情を自己抑制していることすら気づいていない無垢なお人で、
阿瑶は、曦臣を聖域視しているので、
もう一歩が訪れないと思うのです。
もどかしいにも程があります。

 

温家征服後、金光善の密命により阿瑶が陰虎符の捜索並びに修復を
行う時期に阿瑶は、薛洋と密接な関係をもっていたろうと推察されます。
互いに不遇な境遇で育ち、自分の力だけでこの社会に挑もうとする者同志、
二人は、本音であいみまえる対等の友だったでしょう。
子供のように性に快楽に貪欲だったろう薛洋にとって、
当然のように阿瑶は、その対象であったろうと思うのです。
阿瑶にとっても薛洋は、見返りも演技も何も求められない、求めない、
純粋に快楽を極めることの出来る相手だったと思うのです。
そこに愛など全く介在しない、純粋に快楽だけの性交。
虚しさを互いに埋め合わせるだけのような切なさを感じます。

そうこうするうちに阿瑶を出自に関係なく慕う少女秦愫の
登場です。父光善の有力な家臣の娘です。阿瑶は、金家での
地位を固める為の政略という目的というだけでなく、この娘を
心から愛したのだろうと思っています。
この結婚を確実なものとするために、疑い深い阿瑶は、
間違いを犯します。
妓楼で男娼としての経験はあったかも知れませんが、
初めて阿瑶は、男性として秦愫を、身も心も愛してしまった。
結婚前夜に彼女の母親から、実は、異母兄妹だと知らされるのです。
阿瑶は、自分の地位を守る為、今更結婚を取りやめられない。
ましてたった一度で秦愫は、身ごもって仕舞っている。
このことが阿瑶の心を最終的に壊したのだと思っています。

 

自分の「生」も「性」も人も自分自身をも全て憎み、恨んだ。
あれだけ性に奔放だったろう阿瑶は、これ以降「性」を
封印したのではないかと私は、思っています。
世の全ての男を憎んだたったひとつの例外が「白月光」藍曦臣だった。
「性」を除外したあくまでも清らかな慕情・・・では、あり得ませんね。

無理に性の部分を抑え込んで、
曦臣を慕っていたのだろうと感じるのです。

曦臣から見た阿瑶は、というと、これまでも感じてきたように、
曦臣は、阿瑶に対する気持ちが友情以上だという事に
全く気付いていなかったろうと思います。
雲深不知処で曦臣が魏嬰に、自分達の両親の話をした時、
「忘機には執着がある。」と語りましたが、
曦臣は、自分の事でもあると全く気付いていないのです。
自分の感情を理解出来ていない。
おもむろに裂冰を吹き始める。己の内に湧き上がって来る
その感情が何であるか理解できずに、ただ抑えようとする姿、
曦臣の苦悶が切なく愛しく感じられました。

結局、阿瑶と藍曦臣二人にとっての性の発現は、
あの観音廟での、それも最終場面、曦臣が阿瑶の胸に、
朔月を突き刺してからのわずかな時だったのかなあと感じています。
壮絶なエロスの爆発だったでしょう。
極限状態での肉体と精神の交合、凄まじいものだったでしょう。
最高のエクスタシーを得られたのは、
阿瑶のみであったろうことが残念です。

 

兄様、どうか封印を解いて、生身の阿瑶を取り戻して
再挑戦なさって下さい♪