曦瑶

「陳情令」金光瑶と藍曦臣についての彼是

曦臣が阿瑶に手紙を書くとしたら

絶望の淵に佇む曦臣がどうしたら救われるのかを考え続けているのですが、
リルケの詩の一節
『すべてを経験せよ 美も恐怖も 生き続けよ 絶望が最後ではない』を
思い浮かべました。
阿瑶を喪った曦臣は、かけがえのない存在を失くして仕舞ったのですが、
引き換えに今まで封じ込めてきた感情を手にしたのでしょう。

曦臣が阿瑶に手紙を書き綴るとしたらどんな文面でしょう。

一番最初は、
「阿瑶、何故、私を独り残したのだ?」かもしれません。
「阿瑶、何故、私に真実を告げてくれなかったのか?」
一番先に来るのは、悔しさだと思うのです。

次は、
「阿瑶、あなたを救ってやれなくてすまない。」
「阿瑶、あなたを信じてやれず、朔月で刺してしまってすまない。」
次に来るのは、後悔、謝罪のように思います。

これまで阿瑶と過ごした長い時の中で、自分は何を見て、何を見ずに、

何の間違いを犯したのか、己の過去と徹底的に向き合うのだと思います。

観音廟事件の直後、曦臣は、まだ己が阿瑶を愛していた事すら
気づいていなかったろうと思うのです。
ここに至ってようやく曦臣は、
自分の感情が「愛」だと気づくのでは、ないでしょうか。

手紙に書かれる言葉は、
「阿瑶、あなたを想っています。あなたに逢いたい。」に
変わっていくのだろうと思います。
手紙には、阿瑶と過ごした日々の楽しい思い出、美しい思い出が
綴られていくのではなかろうかと感じます。

もう逢えないことを嘆くのではなく、
「私と出逢ってくれてありがとう。」
そんな言葉が書き記された時、曦臣は、闇を抜けるのだろうと思います。