曦瑶

「陳情令」金光瑶と藍曦臣についての彼是

忘れ得ずして

自信が無くてどうしても手を挙げることが出来ずに、
「自分だけの妄想にすべき」とチマチマ書いておりました。
「忘れ得ずして」というタイトルです。
思い留まって良かった。やっぱり私、激しくズレています。
そのうちにpixivに載せる積りでおりますが、
このタイトルの由来について書いておきます。
これは、古の大人気ラジオドラマ「君の名は」の
冒頭ナレーションで流された、
『忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ。』
から来ています。
叶わぬ恋の相手への慕情を断ち切れずに、
苦しみ抜いた主人公が、こんなにも苦しいのなら、
いっそ全てを忘れ去りたい、忘れられたらどれ程楽になれるだろうかと、
忘れようと思い定める程に一層募る恋心、
といった情念を表しているのだろうと思います。

 

観音廟事件の後、阿瑶を喪った藍曦臣は、
想像を絶する程の喪失の痛みに囚われた日々の中で、
「いっそ阿瑶の全てを忘れてしまいたい」と
「忘却」を望んだ事は、あったのだろうかと考えました。

私は、曦臣と言う人が自分の苦痛から逃れる為に、
自分の生涯から阿瑶を抹消するなどとは、
考えもつかなかったと思うのです。
手の届かぬ、遥か遠くへ逝ってしまった人を、
掛け替えのない鮮やかに浮かび上がる過去の瞬間を、
繰り返し繰り返し反芻しているのでは、と考えるのです。